-
【夏葉社】タンポポのあけくれ
¥2,860
SOLD OUT
『タンポポのあけくれ』片岡千歳 夏葉社さんの新作です。 函入り本ということで、夏葉社さんの素晴らしい装丁に圧巻です。本当に素晴らしい本であり、また内容もとにかく良さでした。 復刊本は、もうそのお店が世の中になかったりする寂しさがあります。 これは「昔日の客」の山王書房もです。ですが、行ったことがない、そしてもう行けないお店を思いながら読む本は、これもまた至高です。 良い読書体験を与えてくれます。 ---版元より--- 2023年10月20日に、片岡千歳さんの『古本屋 タンポポのあけくれ』 という本を刊行いたしました。 オリジナルの本は2004年の2月15日に刊行されておりますから、 約20年ぶりの復刊ということになります。 古本にかんする本を読んでいて、高知県の古書店主が残した この随筆集の存在を知り、けれど、『昔日の客』のときと同じく、 どこにも売っていなく、はじめは、高知県立文学館で読んだように 記憶しています。 最初に読んだときから、いいなあ、とずっと心に残っていました。 古本にたいする造詣が深くなくても、文学に詳しくなくても、 作者の本への真摯な思いを読んでいるだけで、こちらの心が洗われる、 そんな本でした。 「私は古本屋をしております。父が亡くなって姉も女学校を中退し、 私は高校へ進学できませんでした。卒業間近くなり、いよいよ進学は 無理と分かった時、私の前途は閉ざされたような気持ちでした。 そんな暗い思いでいた私に、先生はおっしゃいました。 〝お前は何のために高校へ行きたいのか〟 〝高校へ行かなくても勉強はできる。本を読みなさい。 岩波文庫の後ろのページに、世界の古典の目録が出ている。 あれを全部読んだら高校卒、いや大学卒にだって負けない〟 先生は教えてくださいました。私は岩波文庫の目録全部は、 とても読めませんでしたけれど、岩波文庫を手にした時は、 目録まで読んで、古典と言われる本の名前を覚えました。 古本屋をやってこられたのは、先生にあの時教えて頂いた、 岩波文庫のおかげです。先生ありがとうございました」 こんな文章を読むとぼくもまた店で本を買い、 勉強をしたくなります。 著者が夫婦で経営した古本屋「タンポポ書店」はすでになく、 著者の片岡千歳さんも、夫の片岡幹雄さんも他界されています。 けれど、この本を読めば、いつでもなつかしい古書店を訪ね、 詩を愛するご夫婦に会うことができます。 貼り函入りの、シンプルで、丈夫な仕様です。 ぜひ書店でお手にとって、ご覧ください。 『古本屋 タンポポのあけくれ』 著者:片岡千歳 装丁;櫻井久(櫻井事務所) 装画(刺繍):すずきくみこ 価格:2600円+税 版型:四六判/仮フランス装 頁数:320頁 ISBN 978-4-904816-45-5 C0095
-
【夏葉社】神様のいる街
¥1,760
『神様のいる街』吉田篤弘 著 ---夏葉社より--- 吉田篤弘著 2018年4月刊行 ISBN 978-4-904816-27-1 四六判変形上製 128頁 価格 1600円+税 装丁 クラフト・エヴィング商會 著者の自伝的エッセイ。なにももたなかった若者が、神保町と神戸のふたつの街に惹かれ、あてもなく歩き回る。そこで発見したいくつかのこと。 幻の処女作『ホテル・トロール・メモ』を収録。 ---版元より--- 本と旅と青春。この上なく率直に書かれた自伝的エッセイ。 吉田篤弘さんと弊社の出会いは、忘れもしません、「本の雑誌」2012年1月号。その前年の「私のベスト3」に、弊社の 『上林曉傑作小説集 星を撒いた街』を挙げてくださっていたのです。それから本をとおしての密やかなおつきあいが始まり、今月、 弊社から初めて、吉田さんの書き下ろし作品がでます。弊社から作家への依頼は「デビュー作のような瑞々しいものを書いてほしい」 というもの。本作はまさに、吉田さんの再びのデビュー作に相応しい作品です。20歳の主人公が、自分の大好きな「神様のいる街」 に何度も足を運び、本をとおして自己をつくる。その「神様のいる街」とは、神保町と神戸。実際にあった沢山のお店と本が出て きます(澁澤龍彦や上林暁。海文堂書店も)。そして、物語の最後に主人公は結婚します。清々しい読後感に満ち、ポエジーに溢れて いて、最後には胸がギュッとなる。吉田さんファンにも、入門にも最適な一冊。造本も瀟洒です。
-
【夏葉社】早く家うちへ帰りたい
¥1,760
SOLD OUT
『早く家うちへ帰りたい』高階杞一 著、挿画 望月通陽 ---夏葉社より--- 高階杞一 著 2013年4月 発行 ISBN978-4-904816-08-0 四六判上製・布装 128ページ 価格 1,800円+税 装丁 櫻井久 挿画 望月通陽 愛する子どもが、重い障害をもって生まれてきた日。そして、その永眠のときまで。 一冊の本のなかに、子どもの命がみずみずしく描かれた、感動的な詩集。 一九九五年に偕成社から刊行されていたものを復刊。 ---版元より--- ずっと売り続けたい、小さな子どもの命を描いた詩集。 内蔵に重い障害をもって生まれてきた息子と、その在りし日を思う、詩人の言葉。4歳の我が子が旅立ったときのことを描いた表題 詩は、何度読んでも泣いてしまいます。小さな子どもをもつ親は、みな泣くと思います。「泣ける本=いい本」だとはまったく思い ませんが、この詩集を読むと、我が子がますます愛おしくなります。そのかけがえのなさに、あらためて気づきます。 本書は 2013年に弊社より復刊しましたが、2年前から品切れ状態にあり、この度、定価を下げて新装版として再販しますので是非手にとってみてください。
-
【夏葉社】昔日の客
¥2,420
SOLD OUT
『昔日の客』関口良雄 古本屋で働く主人公が織りなす、人間ドラマと本の魅力が交錯する物語。昔日の客は古書店が舞台でありながら、一冊一冊に秘められた人々の思いや物語が描かれています。 主人公と共に仕事をすることで古書たちの魅力に触れ、自身もまた変化していく姿が描かれています。古本に出会ったことで心の豊かさや人生の尊さを感じる人々の姿を描く本作は、読者の感情を揺さぶります。 昔日の客は、本と人のつながりや、古本屋の魅力を描いた作品です。本作を読むことで、本や書店との関わり方を再考し、新たな本との出会いを見つけられるかもしれません。 ぜひ、昔日の客という物語の世界へ、一緒に旅立ってみませんか? ---夏葉社より--- 関口良雄 著 2010年9月発行 2016年7月9刷 ISBN978-4-904816-01-1 四六判上製 232ページ 装丁 櫻井久 「私は常々こう思っているんです。古本屋という職業は、一冊の本に込められた作家、詩人の魂を扱う仕事なんだって」 かつて東京大森にあった古書店「山王書房」の主人が残した、一冊の随筆集。 古本と文学を愛するすべての人へ。 古本好きたちがずっと復刊を待ち望んでいた本 ---版元より--- 野呂邦暢、上林暁、尾崎一雄、尾崎士郎、三島由紀夫、沢木耕太郎、山久根達郎といった作家たちが愛した、東京大森の小さな古本屋。それが『山王書房』です。店主である関口良雄が綴った、作家たちとの交流と、古本と文学に対するあふれんばかりの愛情は、没後、『昔日の客』という書籍にまとめられ、以後、幻の名著として、長い間、古本好きたちに熱心に探され、そして、愛されてきました。実に32年ぶりの復刊。心あたたまる傑作です。
-
【夏葉社】上林曉傑作小説集 孤独先生
¥3,080
SOLD OUT
『上林曉傑作小説集 孤独先生』上林曉 著 山本善行 撰 上林曉の代表作、小説集『孤独先生』がついに登場!美しい装丁が目を引く一冊です。上林曉の魅力が詰まったこの小説集は、孤独や葛藤、人間の心の奥深さを描いた作品が満載です。 上林曉は、その独特な文体と深い洞察力で多くの読者を魅了してきました。彼の小説は、現代の社会問題や人間の孤独感を巧みに取り入れながら、心に響くストーリーを紡いでいます。 とにかく触ってみることをおすすめしている本です。触って読む、そして人にプレゼントなんかしてもいいですね。 作品たちは以下の通りです。 天草土産 淋しき足跡 海山 夭折 トンネルの娘 冬営 清福 景色 ニ閑人交遊図 孤独先生 手風琴は古びた 著:上林暁 撰:山本善行 版元:夏葉社 P414 B6変形判ハードカバー 2023年4月刊行 ---版元より--- 美しい本。美しい小説。『星を撒いた街』に続く、待望の小説撰集。 昭和を代表する私小説作家、上林曉(1902―1980)。太宰治と同時期にデビューした作家は、心を病んだ妻を見つめ、のちに脳溢血によって半身不随となったあとも、震える左手で小説を書き続けました。その不屈の精神がすなわち作品になっていることが、作家の名を著名にしましたが、上林曉はいわゆる私小説以外にも、未来に残る美しい小説もたくさん残しています。2011 年に制作した『星を撒いた街』は、作家のそうした美しい面に光を当て好評を博しましたが(4 刷、5500 部)、本書は同じコンセプトでつくる小説撰集の続編です。装画は阿部海太さん。装丁以外にもカラー挿絵を 10 点収録した豪華な本です。収録する短篇は初期の傑作「天草土産」ほか 10 点。本の大きさは新書サイズとほとんど同じです。432 ページ、ハードカバー、背継ぎ表紙という瀟洒なデザインが、作家の瑞々しい作品の 魅力を伝えます。ベストセラーにはなりませんが、長く、細々と売れる本になるのではと思います。ぜひご期待ください。
-
【夏葉社】レンブラントの帽子
¥1,760
『レンブラントの帽子』バーナード・マラマッド この本から夏葉社さんが始まったようなものだ。 私はある意味追体験としてこの本を読み、そして読めることを嬉しく思う。 ---夏葉社より--- 1975年に刊行された同名の短編集から3編をセレクトし、復刊。 人と人とのすれ違いを描いた表題作はアメリカ文学史に残る傑作。 小説を読むことは「レンブラントの帽子」を読むこと、読み続けることだ。 ぼくはそんなふうに思う。 巻末エッセイ 荒川洋治 ---版元より--- アメリカ短編小説の傑作。1975年に集英社から刊行されていたものの復刊。 二人の男の心のすれちがいを「これ以上なく哀切に、精密に、劇的に、あたたかみをもって」(荒川洋治)描いた表題作、戦争に行きたくない子とその子を見守る老いた父の心情を切々と描く『わが子に、殺される』、O・ヘンリー賞を受賞した中編『引き出しの中の人間』の三編を収録 巻末に荒川洋治のエッセイを収録 バーナード・マラマッド 著 小島信夫、浜本武雄、 井上謙治 訳 2010年5月発行 2014年9月4刷 ISBN 978-4-904816-00-4 四六判上製 160頁 装丁 和田 誠
-
【夏葉社】私の文学渉猟
¥2,530
SOLD OUT
『私の文学渉猟』曾根博義 曾根博義先生(1940-2016)のとにかく本の話が書かれた本です。 本マニアが紹介する本が僕は好きで、これは「昔日の客」もそうですが、本を読むことを肯定されている感覚が嬉しくなるのです。 ダラダラとこの美しい装丁を触りながら、少し分厚めの本を日曜日の午前中に読む。 午後は本屋でも行こうか、なんて気分にさせてくれます。 ---版元より--- とめどない、文学の話、本の話、雑誌の話、昭和の話。 曾根博義先生(1940-2016)は知る人ぞ知る古書マニアです。内澤旬子さんの『センセイの書斎』(幻戯書房)の大トリを飾る塀式の書庫は圧巻で、 特に昭和初期のモダニズム関連の書籍・雑誌を集めてらっしゃいました。本書はその曽根先生の遺稿集です。 先生は近代文学、なかでも伊藤整を専門とする学者ですが、今回の『私の文学渉猟』では、研究色の強い原稿の収録は避けて、文学、古本探訪、 雑誌収集といった、読み物としておもしろい原稿のみを集めました。「索引がこんなに面白くていいのかしら」、「芥川龍之介と宇野千代」、 「文芸評論と大衆―昭和三〇年代の評論の役割―」、「『新日本文学全集』と戦争下の出版状況」、「第一書房版『ユリシイズ』の怪」など、 大盛りの 48 編収録の読み物アンソロジー。装画は「toji」などで活躍する樋口達也さん。たくさん売れる本ではないと思いますが、文学好き、 古書好きのみなさんがきっと喜んでくださる、やや厚めの1冊です。 著者:曾根博義 発行:夏葉社 サイズ:195×135mm 400ページ ハードカバー
-
【夏葉社】本屋で待つ
¥1,760
『本屋で待つ』佐藤友則/島田潤一郎 私の周りでも最近この本を読んだという方が増えてます。 もうタイトルからすでにいいですよね。 ---夏葉社より--- 人口約7000人の町にある「ウィー東城店」。 老舗書店の長男だった佐藤さんは、町民の相談ごとに耳を傾け続ける ことで、赤字続きだった店を立て直します。 「電化製品がこわれた」 「年賀状の字がもう書けない」 「普通免許をとりたいけど、母国語のポルトガル語しか読めない」 町の人びとは、本屋へ行けばなにかヒントがある、と考えて、 本屋にやってきます。 その本にたいする信頼、そして本を売る人への信頼が、ウィー東城店を 特別な店に変えていきます。 本書が感動的なのは、ウィー東城店が町の人びとの相談ごとのひとつとして、 次々に学校へ行けなかった若者たちを雇用し、彼らが社会へ出るための 後押しをしていることです。 本のある場所で、本を求める人と会話することが、若者たちの心を少しずつ 癒やしていきます。 本書はその貴重な記録でもあります。 装画・挿絵はマンガ『急がなくてもよいことを』が好評なひうち棚さん。 お近くの書店で、ぜひご覧ください。 『本屋で待つ』 著者:佐藤友則、島田潤一郎 装丁;櫻井久、鈴木香代子(櫻井事務所) 価格:1600円+税 版型:四六判変形/ハードカバー 頁数:298頁 ---版元より--- こんな本屋があったんだ。お客さんと書店員たちの胸打つ物語。 広島県庄原市にある書店「ウィー東城店」。店長の佐藤友則さんは赤字続きだったこの店を、 「お客さんの要望にこたえる」という姿勢を徹底して貫くことで、黒字化させます。こわれた電気機器の相談や、年賀状の宛名書き。 山間の田舎の書店に望まれることの多くは、高齢者たちの生活の相談にのることでした。それだけでなく、店は美容院を併設し、 エステルームをつくり、コインランドリーをもつくります。本書はそうした「書店の複合化」の物語である一方、 引きこもっていた若者たちが書店をとおして成長していく物語でもあります。 ある日、「学校に行けなくなった子どもを働かせてほしい」と相談され、それからウィー東城店にはそうした若者たちが次々とやってきて、 レジを担当し、棚を担当します。彼らはお客さんと接し、本と接することで次第に快復し、何人かは社員となり、 そのうちのひとりは佐藤友則さんの次の店長となって、店を支えます。装画、挿絵は『急がなくてもよいことを』で注目を浴びる漫画家、 ひうち棚さん。本屋の可能性を伝える、感動的な一冊です。
-
【夏葉社】美しい街
¥1,760
『美しい街』尾形亀之助 著 松本竣介 絵 ---夏葉社より--- 2017年2月発行 2017月7月2刷 四六判上製変形 176ページ 装丁 櫻井久 巻末エッセイ 能町みね子 いつまで経っても古びない、たった一行の詩や、二行の詩。 眠らずにいても朝になったのがうれしい 消えてしまった電燈は傘ばかりになって天井からさがっている (「いつまでも寝ずにいると朝になる」) 孤高の詩人尾形亀之助(1900〜1942)の全詩作から五五編を精選。 ---版元より--- 荒川洋治。堀江敏幸。池内紀。いがらしみきお。荻原魚雷。能町みね子。多くの作家たちが 尾形亀之助の詩について書き、話しています。その詩は淋しくて、凛として、ユーモラスで、ときに天才的です。 本書はなかなか手に入りにくかった亀之助の著作を、同時代に夭逝した画家松本竣介のデッサンとともに再構成 したものです。「いま私が生活を見つめる目は亀之助から授かったもののように思っている」と寄せて下さった 能町みね子さんの 3千字の文章(巻末収録)も本作の目玉です。
-
【夏葉社】第一藝文社をさがして
¥2,750
SOLD OUT
『第一藝文社をさがして』早田リツ子 著 ---夏葉社より--- 『第一藝文社をさがして』は、女性史にかんする著作をもつ著者による、 出版社の稀有な評伝です。 第一藝文社とは戦前に伊丹万作、今村太平らの映画にかんする書物を刊行し、 杉山平一の『夜學生』などの詩集を刊行した、関西の出版社です。 出版社として活動した時期は約10年と短く、これまでその実態は謎に つつまれていました。 著者は一通のメールから、地元の滋賀に存在した第一藝文社に興味をもち、 社主の中塚道祐の遺族のもとをたずねます。 そこで手にすることのできた中塚の私家本、図書館と古書店を通して触れた 刊行物をとおして、第一藝文社というひとりの編集者によって営まれた 出版社の理念と運命をあきらかにしていきます。 デザインは同じく櫻井事務所の櫻井久さん、中川あゆみさん、 装画は小川哲さんです。 本書は半透明のカバーに包まれていますが、本体はフルカラーの布張り というめずらしい装丁です。 ---版元より--- 映画と詩と生け花の本を刊行した、戦前のひとり出版社の評伝。 第一藝文社(1936-44)は主に京都で活躍した戦前の出版社です。社主は中塚道祐。彼のほかに社員はいませんでした。 伊丹万作の最初の本(『影画雑記』、1937)や、アニメーション映画の評論の嚆矢ともいえる今村太平の『漫画映画論』(1941)、 杉山平一の詩集『夜学生』(1943)などの名著を刊行した第一藝文社とはいったいどんな出版社だったのか? 著者は遺族に会いに行き、図書館と古書店をとおして、その秘密を時間をかけて、ひとつひとつ解き明かしていきます。 そこにはひとりの編集者と作家たちの出会いがあり、大きな戦争がありました。地味で、無骨で、読み応えのある類書のない評伝。 装幀は、なんとオールカラーの布装。小川哲さんの絵を布に印刷し、本に貼り付けます。 さらにそこに半透明なカバーという凝った造本。きっと、美しい本になります。
-
【夏葉社】さよならのあとで
¥1,430
SOLD OUT
『さよならのあとで』ヘンリー・スコット・ホランド 詩 高橋和枝 絵 装丁 櫻井久 「死はなんでもないものです。 私はただ となりの部屋にそっと移っただけ」 百年前のこの一編の詩に、絵本作家の高橋和枝さんが、二年の時間を費やして、一八枚のイラストをそえました。 死別のかなしみをいやす、特別な一冊。 ---夏葉社より--- 1月27日に一編の詩とイラストの本を刊行いたします。 3年前、僕は、一番の親友であった従兄を、 事故で亡くしました。 以来、創業時から、祈るような気持ちで、 この本をつくってきました。 みながみな、いいという詩ではありません。 けれど、僕が、この詩に慰められたように、 この詩が、かなしんでいる人の心を、 ほんの少しでも、支えてくれたら、と願っています。 なお、この詩の訳者は匿名ですが、その方もまた、 大切な家族を失っています。 下記に、全詩を、引用いたします。 さよならのあとで 死はなんでもないものです。 私はただ となりの部屋にそっと移っただけ。 私は今でも私のまま あなたは今でもあなたのまま。 私とあなたは かつて私たちが そうであった関係のままで これからもありつづけます。 私のことをこれまでどおりの 親しい名前で呼んでください。 あなたがいつもそうしたように 気軽な調子で話しかけて。 あなたの声音を変えないで。 重々しく、悲しそうな 不自然な素振りを見せないで。 私たち二人が面白がって笑った 冗談話に笑って。 人生を楽しんで。 ほほえみを忘れないで。 私のことを思ってください。 私のために祈ってください。 私の名前がこれまでどおり ありふれた言葉として呼ばれますように。 私の名前が なんの努力もいらずに自然に あなたの口の端にのぼりますように。 私の名前が 少しの暗いかげもなく 話されますように。 人生の意味は これまでと変わってはいません。 人生はこれまでと同じ形でつづいています。 それはすこしも途切れることなく これからもつづいていきます。 私が見えなくなったからといって どうして私が 忘れられてしまうことがあるでしょう。 私はしばしあなたを待っています。 どこかとても近いところで。 あの角を曲がったところで。 すべてはよしです。 『さよならのあとで』 詩 ヘンリー・スコット・ホランド 絵 高橋和枝 装丁 本体 1300円+税 四六判上製/120頁 ISBN 978-4-904816-04-2 C0098 ヘンリー・スコット・ホランド(Henry Scott Holland) 1847年イギリスのヘレフォードシャー生まれ。 オックスフォード大学卒業。 1910年から同大学の神学欽定講座教授を務めた神学者。 セント・ポール大聖堂カノン。 1918年没。 高橋和枝 1971年神奈川県生まれ。東京学芸大学教育学部美術科卒業。 イラストレーター、絵本作家。 絵本作品に『くまのこのとしこし』(講談社)、『りすでんわ』(白泉社)、 挿絵を手がけた作品に『ノーラ、12歳の秋』(小峰書店)、『盆まねき』(偕成社)などがある。 2012年1月発行 2018年12月8刷 四六判上製 120頁 ---版元より--- イギリスで長い間読み継がれてきた、死別の悲しみを癒すうた。 「死はなんでもないものです 私はただ となりの部屋にそっと移っただけ」 この世を去った「私」からあなたに贈る42行の美しい言葉。
-
【夏葉社】喫茶店で松本隆さんから聞いたこと
¥1,540
SOLD OUT
『喫茶店で松本隆さんから聞いたこと』山下賢二 著 この薄い本から学べつことの多いことと言ったら。 ホホホ座やガケ書房のようなネーミングセンスにはいつも食らってしまいます。 いい本です。 ---夏葉社より--- 7月8日取次搬入で『喫茶店で松本隆さんから聞いたこと』を刊行します。著者はホホホ座の山下賢二さん。書店主が作詞家に聞いた人生のこと、友情のこと、恋のこと等々。喫茶店で隣の人たちの会話を聞くように楽しんでいただけたらうれしいです。1400円+税。120P。金言がたくさん。 ---版元より--- 今年が作詞活動50周年のアニバーサリー・イヤーとなる松本隆さんと、京都の書店、ホホホ座の店主山下賢二さん。 ふたりは京都という土地で出会い、父と子ほど年齢が離れていながらも、深い友情で結びついています。親しい間柄だからこそ聞けた、 たくさんのこと。そこには、作詞のことも、伝説のバンド「はっぴいえんど」のことも含まれますが、それよりも、どう生きたらいいのか? という本質的な問いが対話の中心となっています。お金とはなにか? 成功とはなにか? 虚無とは? 友情とは? 恋とは? 本書は対談本ではなく、松本さんが語った言葉を山下さんが拾い、編集した松本隆版「強く生きる言葉」のような趣です。 過去を生きる人ではなく、いまを生きる人に届けたい1冊です。
-
【夏葉社】万感のおもい
¥1,760
SOLD OUT
『万感のおもい』万城目学 著 判型は四六版を横にした形で、横長です。 また、表紙の『エッセイ万歳』シールはどうやらランダムのようで、今手元にあるのは緑色です。 こういうところがにくいですよね。 ---夏葉社より--- 4月28日取次搬入で、万城目学さんのエッセイ集『万感のおもい』を 刊行いたします。 万城目さんといえば、長編小説のイメージがありますが、エッセイもまた すばらしいのです。 もりだくさんのユーモアのなかに、一筋の叙情があるその世界は、 唯一無二のものだと思います。 本書は、さまざまな媒体で発表されてきたエッセイのなかから 42編を精選したものです。 創作のこと、大阪のこと、京都のこと、季節のこと、家族のこと。 なかでも、親しい人との別れを綴った数編は、いつまでも心に残ります。 『万感のおもい』の判型は、通常の書籍の縦横をちょうど逆にした形です。 めずらしい、横長のハードカバー。 装丁のストライプは、本書のなかにある「色へのおもい」から着想したものです。 プレゼントにもおすすめです。 『万感のおもい』 著者:万城目学 装丁;櫻井久 版型:四六判変形/ハードカバー 頁数:176頁 ---版元より--- 考えるヒント。創作のヒント。笑いのヒント。季節のヒント。 奇想天外な小説の書き手として知られる万城目学さんにはもうひとつの顔があります。それは、エッセイの名手という顔。 鋭い視点をもちながら、ユーモアを忘れない、小気味よいエッセイは、小説作品同様、多くのファンから支持されています。 本作『万感のおもい』は 2017年から 2021年の間に発表されたエッセイから、 42編をよりすぐった1冊です。 ゲラゲラ笑えるものから、思わず泣いてしまう一品まで、さまざまなタイプのエッセイを収録しています。 判型は四六版を横にした形で、カバーはついておりません。デザインの意味は、本を読むとわかるようになっています。