【日記本】追伸 月が綺麗みたいです - 工藤結日子
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『追伸 月が綺麗みたいです』工藤結日子
※ フリーペーパー付きです
著者
工藤結日子さん。
日記、エッセイ、短歌などを書き、ZINEとして作品を制作しています。これまでに日記本『さみしいものから順に整列』『走馬灯はこのシーンがいい』『うまれなおす』や、短歌をまとめた『日々短歌』などを発表しています。
『さみしいものから順に整列』は、2023年10月1日から2024年3月31日までの半年間の日記をまとめた作品です。また、『日々短歌』は、普段の日記の中で、その日の出来事から着想して詠んだ短歌の一部をまとめた作品です。
本の説明
まるで一日一日を小説のように生きられているなと感じてしまいます。それぐらい重厚で、起承転結が日記の中にもあるので、情景が瞼の裏に浮かぶのだと思います。
そして私は特に冬の日記本が好きで、何となく外は寒いんだろうなとか、食べ物も美味しそうだななどと読みながら、頭の中がホクホクになります。そういう日記本の読書体験は本当に素晴らしいですね。
工藤結日子さんの新刊「追伸 月が綺麗みたいです」も、二段組で読み応えがあります。是非、冬が来る前に先行して冬を味わいませんか?
【日記本】さみしいものから順に整列 | 玉葱堂書店 - https://cozy.books-tamanegido.shop/items/94681530
【日記本】走馬灯はこのシーンがいい | 玉葱堂書店 - https://cozy.books-tamanegido.shop/items/114197677
【日記本】うまれなおす | 玉葱堂書店 - https://cozy.books-tamanegido.shop/items/138624828
---本書より引用
12月24日 (火)
先輩が今日休むかも?と昨日言っていたので、会議の資料を代わりに作っておいたけど、結局先輩が仕事に来たので私が作っておいた資料は意味を成さなくなった。予備とか保険をかけておくとかよくあることだけれど、労力がかかるほど使わなかったときにがっかりくらいはしてしまう。ささっとシュレッダーにかけた。
クリスマスイブではあるけれど遅出。欠員も出ていたらしく慌ただしかった。いつもと流れが違うために他の人が気遣ってくれ、短時間ずつ手伝いに来てくれた。ありがたいなぁと思っていた矢先、先に退勤する人が「大丈夫?終わりそう?」と声をかけに来た。労いや心配かと思いきや、私が「皆さん手伝いに来てくれたので何とか…・・」と言うと、勢いよく「こっちにそんなに手伝いに来る必要なんてなかつたと思うんだよね、あっちも大変だったんだから」と言ってきた。手伝いに来ている人にそんなこと言う必要ある?と思いながら「忙しい日にあたって、気を遣わせてしまってすみません」となぜか私が謝ることになった。謝ることではなかったかもしれないけれど、謝ってほしそうだったから謝った。今この瞬間も業務が滞っているので早く解放してくれと願いながらへらへら笑った。クリスマスイブに争いたくなかった。後から同僚に聞いてみると私の知らぬところでも更にかなり不機嫌だったらしい。不機嫌でいて、周りに察しさせて、もしくは謝らせるような態度は自分にとって損しかないのに、無意識的にやっちゃう人っているんだよな。
退勤後急いで本屋さんへ。明後日で退職してしまう後輩に図書カードを買った。何か1冊…・・と、思いながら本棚を眺めた。ぐずぐずしている間に蛍の光が流れ始め、電気が間引かれ、間仕切りのカーテンが四方を囲み始めた。近くにいた店員さんと目が合い、「閉店ですね」とひとりごとっぽく言った。彼はこの本屋さんに来ればいつもいる。社員さんか?「生殖記/朝井リョウ」か「富士山/平野啓一郎」で迷ったが、最終的には「富士山」にした。以前に分人の話をしたことがあったから。ハン・ガンの本を自分用に買いたかったが給料日前なので一旦止めた。会計後に店員さんに謝り、出口に向かって歩いたものの、囲まれたカーテンのどこから出られるのか分からずに出口迷子になった。
閉園後のディズニーランドに隠れている人みたいと思いなから、見つからない出口を探して歩いた。結局店員さんに見つかるまで歩いた。出口は反対方向だった。
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レビュー
(24)
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