【エッセイ】それからはここから
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『それからはここから』あらまし
---版元より---
サイズ: B6
ページ数: 188
発行日: 2023/10/27
ジャンル: 日記
2021年11月から2023年8月までの、1年と9ヶ月の日記をまとめました。見たい世界をもっと見るために、迷い考え悩みながら進む、ひとりの女性の毎日の記録です。
素敵な装画は、仙台発5人組アーティストコレクティブ「キラーギロチン」のメンバー、森内一生さんの作品。
どんなにかなしくても、恋しくても、苦しくても、美しくても、いつか忘れて平気になる。そんなことを確かめては受けとめていく一冊です。
窓辺から差すまっすぐな光のように、惑う人の支えとなれたら、うれしいです。
以下、一部抜粋。
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2022年3月14日
論理と感性は相対するものでは必ずしもないが、まったく同時にその場にあることも難しく、だからしばしば意識的に頭や心を切り替えている。
吹きさらしの非常階段をカンカンと音を鳴らして駆け上がりながらも、時折はたと立ち止まり、一面に広がる桃色の夕を瞳に映している。息を切らしてでも進むのは、もっときれいな世界を見るため。
2023年2月19日
大人になることの何がいいって、諦めがつくことだよね、と話すTに頷く。わかりあえない他人がいることも、伝わらない想いがあることも、諦めて、受け入れて、そのうえで前を向けるようになったと実感するたび、歳を重ねてきてよかったと思う。きみの日記に出てくる人は素敵な人ばかりだと言われ、あなただって例外ではないのだと返しそびれたまま、駅で手を振った。
2023年6月15日
致し方なく腹痛。痛み止めを飲んで香水を振る。気に入りのシャツを羽織って家を出る。
日々を乗り越えるためのおまじないやお守りはいくらあったっていい。白い錠剤が、三日月みたいなハーバルムスクが、黒く艶やかなシルクの肌触りが、体だけでなく心まで守り癒してくれる。
肉の奥にも胸の内にも直接手を伸ばして触れることは叶わないから、芯まで届く光を集めて、そうして私は私を照らす。毎日が祈りだ。
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