




【サイン本】【栞付き】【日記本・旅行記】モチベーション
¥1,760 税込
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『モチベーション』蟹の親子
蟹の親子さんの新刊です。
圧倒的ボリュームで、阿久津隆さんの「読書の日記」を彷彿とさせます。
個人的には、旅行記の中の機内での出来事の描写がとても好きです。私も国内線・国際線と乗りますが、結構機内にいる人を観察してしまうので、とても楽しく拝読しました。
安定の日記本といった面白さがそこにありました。
本書より引用。
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「クレメンティまで戻り、Aさんの家までバスに乗る。バスは「次はどこどこ」という案内を一切出さない。運転手のアナウンスも、車内表示もなかった。自分の降りる停留所が近づいてきたら、「おりますボタン」を押す。眠ったりよそ見をしたりしていたら降りそびれそうだ。けれど、窓の外に目を凝らし、見覚えのあるイルミネーションの前を通過すると次だ、ということが、私にも分かるようになっていた。間違えずに降りて、団地の敷地に入った。屋根のついた道を歩いた。
昨日、椅子や机を出していたのは、やはりお葬式の準備だった。参列者が集まっていた。故人の写真の縁には、白いお花の飾りがついていた。写真の下に「××××〜2024」と書いてある。年が変わって早々に亡くなったことが分かった。
部屋に戻ってシャワーを浴び、ほとんど寝落ちするように、眠った。」(「シンガポール旅行記」)
「そういう時間が、旅行の至るところにある。あれはなんだったのだろう、と妙に引っかかるもの。数日もしたら忘れる。すでに忘れているものも、あるはずだった。旅行中は日記らしい日記を書かなかった。手元のメモに残しておくだけで、まとまりのある文章にはしなかった。あとで振り返ったらいい、と折り合いをつけた。べつに、日記を毎日、必ず残さないといけないことはない。忘れることを怖がらず、むしろ自然に忘れていく、その移ろいを感じることは、時間そのものを感じることと同じだった。これは好機だった。そこにあったものを、思い出しながら書くことができる。思い出したいものを呼び戻すように書ける。だって、あのぬるい気候と正体不明の香りはどうしたって、ここにない。私は思い出すのが好きなんだから、好きに思い出せばいい。」(「シンガポール旅行記」)
「棺のふたを開けて花を詰めていると、ようやく、葬式というものに参加しているのだと実感した。係の人が飾ってある花を切って、かごに集め出す時間が一番、お葬式という感じがする。参列者に「お布団をかぶせるようにお花を入れてください」と呼びかけていた。足元にはもみじ饅頭とランチパックを詰めた。上からまた、花をかぶせる。食べ物は見えなくなった。」(「二〇二四年八月」)
「十一時前に発車した高鐵はアヒル小屋やコスモスの咲く小さな庭が見える景色の中を猛スピードで走り、十三時前に次の拠点、南港駅に着いた。
車内では日記を整えて過ごしていた。相変わらず、こんなに大変ならもう日記を書かなくてもいいんじゃないかと、やめたくなる瞬間が訪れる。
けれどその波が過ぎると、この期間に感じたメランコリーな気分を乗りこなし、ただの記録だったものを記憶に結びつけ、そしてこれから胸を張って、あらゆることを忘れてもいい、と思えるようになる。」(「台灣旅行記(前編)」)
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著者:蟹の親子
文筆家。記憶について日々考えている。著書に『脳のお休み』、『増補版 にき 日記ブームとはなんなのか』などがある。
東京・下北沢にある「日記屋 月日」ディレクターを担当。1991年生まれ、かに座。kanioya.com
---版元より---
文筆家・蟹の親子の日記集vol.6。シンガポール、イギリス、台灣の旅行記を含む、2023年12月31日から2024年12月31日までの一年間の日記を収録しています。一生に一度あるかどうかの特別な時間の重なりも、いつかは忘れ、記憶からこぼれ落ちて行きますが、なぜ不完全であったとしても日々の記録を続けるのか、自身のモチベーションを探る一冊になりました。
サイズ:A6(文庫) ※別途、本体にミニ栞を封入します。
本文:560ページ
背幅:3cm
本体価格:1600円+税
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